余白があるからおもしろい 『アメトーーク!』のプロデューサーに学ぶエンタメのつくりかた
テレビ朝日の超人気番組『アメトーーク!』『ロンドンハーツ』などのプロデューサー・加地倫三さんの著書『たくらむ技術』(新潮社)を読んだ。
非常に興味深い内容ばかりだった。
「トレンドに背を向ける」とか「笑いの余韻の”間”をつくる」とか、なかなか目から鱗の内容が盛りだくさんの良書だった。
その中でも特に「これだ!」と腹落ちした部分があった。
あくまで加地さんはサラッと書いてらっしゃったけれど、これが人間の本能的行為であり、これがエンタメの真髄だとすら感じた。
9章「企画書を通すにはコツがある」の第1項「短く書いて「減点」を減らす」。この中で、「余白」の重要性についてふれている。
(分厚い企画書よりも薄い企画書の方がよいという話の中で)面白そうな概要だけを書き、後は読む側に想像してもらう。相手に「こんな面白いこともあるかもしれない」と思わせる、企画書の「余白」を作るのです。 - 加地倫三『たくらむ技術』
企画書の話題に特化した一節のように見えるが、これはまさにエンタメ、いや、恋愛でも仕事でもコミュニケーションを取る上で非常に有用な手法だと思われる。
先日書いたブログで、「編集」の重要性について述べた。
編集するっていうのはひとつ、世の中のより多くの人の心にきちんと届くように、素材を取捨選択するっていう部分が大きいんです。
例を出すと、映画の予告編なんかがわかりやすい。
あの15秒、30秒のあいだで見る者を興奮させてくれる。DVDを借りたにもかかわらず予告編を飛ばさずに見たいという者もいるし、それを見て涙すら流す者もいる。
どうしても今の時代、伝えたいこと全部を伝えるなんてことは不可能になってきている。だからこそ、想像してもらう。あえて余白をつくり、「これは楽しそうだ」「それはおもしろそうだ」と思ってもらう。
「ミステリアスな人が好き」という人や、「人は見た目で印象が◯◯%決まる」という言説は、まさに“余白効果”だと思う。
もっといえば、余白をつくり、編集し、コンテンツを次々とつくっていく。
そうしていくうちに、ウラ話やカメラが回っていないときのエピソード・こぼれ話が出てくる。そういった話が趣深いのは、余白からの”パンチラ”だからではないだろうか。
ピンクなパンツだったり、Tバックで生尻すらが見え隠れする。余白があるからこそ、人はそこにドキドキするのだと思う。
無修正は、好きですか
無修正は、好きですか?
無修正動画は、好きですか?
無修正画像は、好きですか?
無修正文章は、好きですか?
無修正なものは、好きですか?
勘のいい人ならお気付きかと思います。
どんなものでも、修正・編集されているのが普通で、そうでないものを悪だと考えるのはおかしいのだということに。
最近では「丸ごと愛する至上主義」が蔓延りすぎて、どうもそのへんが誤解されてる気がします。
お笑いが好きなので、お笑いファン(本人はお笑い評論家と自称している人)たちのツイートなどを拝読する機会がけっこうあります。フォローもしてます。そこでよく、彼らは『世界は数字でできている』について批判していることがあります。
「書き起こさないでほしい」「ああやって発言を切り取って……」と、ラジオでの発言をテキストベースで編集することに違和感を感じているようです。
いや、もちろん私自身、ラジオが大好きです。あの独特の雰囲気、「部室感」、あれはやっぱり実際に聴かないとわからないものだと思います。文字では伝わりきらないものもたくさんあるはずです。それに、悪質な編集はなくすべきだとは思います。
でも、『世界は数字でできている』の管理人は、きっと、ラジオもお笑いも大好きな方なんじゃないかな。
それに、あの編集、すごいと思いますよ。
ピックアップする能力もすごいし、ラジオ好きならわかると思いますが、ラジオってけっこう会話の切れ目がわかりづらいんですよね。それをあのブログはもうだいぶ昔からやってる。
……というか、極論を言えば、エンタメを愛する人にとって、エンタメをあーでもないこーでもないって言いながら楽しむっていうのが一番の醍醐味なんじゃないですか?
そのための導線・入り口として、『世界は数字でできている』はかなり貢献してると思いますよ。あのブログきっかけでラジオを聴こうと思った人も相当数いるはず。ああいった取っ掛かりやすいものから始まって、エンタメにどっぷり浸かるようになるって、けっこうあるパターンだと思うのですが。
そうしていくうちに、いつしかコアなファンになって、ダダ漏れの編集なしのものさえも楽しめるようになる。
あれですか?サブカル系クラスタ特有の「知るものぞ知る」というサンクチュアリを侵されたくないという感情ですか?バカバカしいですよ。
やっぱりなにかをおもしろいと感じるためには、わかりやすいストーリーが必要なわけで、そのためには編集・修正というのは当然の行為なわけです。
それなのに、やれ「事実をねじ曲げてる」だとか批判するのってバカげてるでしょ。そんなくだらないところで違和感を感じてんじゃないよ。
編集するっていうのはひとつ、世の中のより多くの人の心にきちんと届くように、素材を取捨選択するっていう部分が大きいんです。
だいたい、この情報過多の時代に、編集がなかったら、たぶんどれもないがしろにして楽しめないと思いますよ。
編集によってデフォルメされた意味付けも含めて、全部まとめてエンターテインメントです。
こちらからは以上です。
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みなさまも風疹にはご注意ください
2013年は高熱での幕開けでした。
普段は熱を測らないでおなじみの私も、これはいかんと測ってみたら39度2分。完全にヤバいです。
病院に行くと「ふうしん」だと診断されました。
ふうしん、はしか、おたふくかぜ……。
子どもの頃によく聞く病名のうちのひとつだったので「23歳にして風疹とかダサすぎじゃね?」と思って色々と調べたところ、どうやら2012年の春〜夏ごろから流行しているらしく、それも成人になってからだとかなり重いのだとか。
おかげで仕事もお休みをいただくハメに。
大体一週間くらいはあまり人と接触しない方がいいみたいです。とはいえ、一度かかったことのある人や予防接種を受けた人ならもう二度とかからないらしく、大丈夫とのこと。
……なんで予防接種受けとかなかったんだよ母ちゃん……。
幸い実家(名古屋)にいたのでよかったです。一人暮らしじゃ耐え切れないつらさでした。
みなさまも風疹にはご注意ください。
こちらからは以上です。
2012年マイベストアイドルソング12曲
群雄割拠のアイドル界。
今年は一般消費者層にもアイドルがすごく浸透した年。
「いままでアイドルなんて興味なかったけど……」
そんな言葉を何度も耳にした年でした。
そこで、そんな2012年の、私の独断と偏見で選んだアイドルソングを12曲紹介します。
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発売日順です。順位などはありません。
それと、メジャーどころしか載せておりませんのであらかじめご了承下さい。
◎Buono! 初恋サイダー/1月18日発売
Buono! 初恋サイダー/DEEP MINDより
ゆび祭りでの愛理の歌い出し、本当に鳥肌モノでした。
◎乃木坂46 おいでシャンプー/5月2日発売
乃木坂46 おいでシャンプーより
乃木坂史上いちばん美しい曲だと思います。来年もきれいな曲に期待!
◎指原莉乃 それでも好きだよ/5月2日発売
指原莉乃 それでも好きだよより
イントロでやられちゃいますよねー。
「それでも好きだよ」のあとに「エッチだってしたのにふざけんなよ!」でしたね。
◎私立恵比寿中学 仮契約のシンデレラ/5月5日発売
私立恵比寿中学 仮契約のシンデレラより
カップリング曲の「放課後下駄箱ロックンロールMX」から入った口ですが、エビ中はチップチューンめいた電子音が使われてる部分がたくさんあって好きなんですよね。
◎でんぱ組.inc でんぱれーどJAPAN/5月23日発売
でんぱ組.inc でんぱれーどJAPAN/強い気持ち・強い愛より
これは本当に「ザ・でんぱ組!」みたいな感じがしてすごくいい。でも去年の『Future Diver』の方が好きかなぁー。それでもこの曲は入れたい!
◎AKB48 真夏のSounds good!/5月23日発売
AKB48 真夏のSounds good!より
おいおい今さらAKBかよ……って人にも一度聴き直してほしいです。これは名曲。
ちなみにイントロで両手あげたあとに首をちょっと上に向けるときのともちんの無表情顔が笑えます。
◎チームしゃちほこ 恋人はスナイパー/8月24日発売
チームしゃちほこ 恋人はスナイパー/ごぶれい! しゃちほこでらックスより
東海テレビ『バナナ塾』に彼女たちが出た際にこれを延々かけまくって踊りまくるっていうのがあって、頭から離れなくなってしまいました。悩みとかがマジでどうでもよくなるくらいアホくさい、力の抜ける曲です(もちろんいい意味でね)。
◎℃-ute 会いたい 会いたい 会いたいな/9月5日発売
℃-ute 会いたい 会いたい 会いたいなより
こんな曲タイトルだしアルバムジャケットもふんわり系だから、かわいいアイドルソングかと思いきや……とんでもなく激しいダンスソングでした。nkskの色気が際立つ一曲!
◎BiS IDOL is DEAD/10月24日発売
BiS IDOL is DEADより
一度まず映像なしで音声のみで聴いていただきたいです。かっこよすぎます。
アルバム一曲目がこれなんですけど、マジで衝撃受けましたね……。
◎ももいろクローバーZ サラバ、愛しき悲しみたちよ/11月21日発売
ももいろクローバーZ サラバ、愛しき悲しみたちよより
これは文句なしの神曲でしょう。さすが布袋寅泰だし、さすがももクロ。
あとカップリング曲の「Wee-Tee-Wee-Tee」、電子音がすごい。
◎スマイレージ 寒いね。/11月28日発売
スマイレージ 寒いね。より
さきちぃとゆうかりんが抜けてスマイレージもうダメかな……曲もそんなに良くないし……と思っていた矢先!こんな良曲が出てくるなんて。新メンバーの成長もうかがえて感動しました。
◎ももいろクローバーZ 僕等のセンチュリー/12月24日・25日限定発売
ももいろクローバーZ 僕等のセンチュリーより
ももかの歌唱力に磨きがかかってますよね。
ももクリパンフの仕事とか、ももクリライブのあの光景とか、紅白のこととか色々な思いが入ってるからなのかわかりませんが、マジで聴くたびに泣きそうになる一曲。
改めて言いますが発売日順です。順位などはありません。
それと、メジャーどころしか載せておりませんのであらかじめご了承下さい。
こちらからは以上です。
ももいろクローバーZ 公式パンフレット「ももいろクリスマス2012 King of Live」
2012年、最も世間に名を轟かせたアイドル、ももいろクローバーZ。
ももクロ夏のバカ騒ぎ Summer Dive 2012 Tourの公式ツアーパンフレットに引き続き、ももクリの公式パンフの編集をさせていただきました。
前回と同様、120ページで内容は盛りだくさん。
SSA会場限定特典のプレミアム下敷きは、ももクロちゃん5人+箱推し用=全6種のラインナップ。
カバーをめくってみたり、外してみたりすると楽しみがまたいくつも。細部までくまなくご覧下さい。
おすすめエレクトロ音楽まとめ
エレクトロの中でもSkrillexなどのEDM、特に
「音とかは超かっこよくて最高に気分も盛り上がるのに、CDジャケットや公式サイトのデザインがちょい厨二病入っててダサい」
という、なかなか「俺はこれが好き」と言いづらい(超絶失礼)あのジャンルの音楽を中心にまとめました。
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Skrillex - Bangarang feat. Sirah
(Skrillex「Bangarang EP」から)
グラミー賞ノミネートおめでとうございます。
Zedd - Clarity (feat. Foxes)
個人的には同アルバムの2曲目「Shave It Up」の方が好き。
Deadmau5 - Some Chords
(Deadmau5「4x4=12」から)
Wikipedia見てもらうとわかりますが、「日本ではネズミDJとも呼ばれる」っていう表記があります。笑
Kaskade, Rebecca & Fiona - Turn it Down
(Kaskade「Fire & Ice」から)
やっぱかっこいい。
Knife Party - Internet Friends
これのアルバムジャケットはポップでかっこいい。
Mayhem - eggs
ちょっとチップチューンめいてるとやっぱりいいですねー。
Porter Robinson - Unison (Knife Party Remix)
(Porter Robinson「Spitfire」から)
先述のKnife PartyによるRemix。かっこいい!
ENR Mixes : Savant - Vario (Album)
(Savant「Alchemist」から)
これについてはよく知らないけどいい。
she - Electric Girl
(she「Electric Girl」から)
この人はけっこうチップチューン色が強い。
あとあんま関係ないところで。
Steve Aoki and Rivers Cuomo - Earthquakey People (The Sequel) (Original Mix)
(Steve Aoki「WONDERLAND」から)
これは文句なしでかっこいい。イラつくひとは1分45秒くらいまで待ってあげてください。グラミーノミニー。
Avicii - Levels
(Avicii「Levels」から)
あとAviciiはこれも好き。
Avicii - My Feelings For You
彼もグラミーノミニー。
こちらからは以上です。
気になったらチェックしてみてください。
Skrillex「Bangarang EP」
Deadmau5「4x4=12」
Kaskade「Fire & Ice」
Porter Robinson「Spitfire」
Savant「Alchemist」
she「Electric Girl」
Steve Aoki「WONDERLAND」
Avicii「Levels」
(追記)
2012年マイベストアイドルソングもまとめました。
よかったらどうぞ。
お笑いと評論とエンターテインメント
浅草キッド・水道橋博士さんがTwitterで「おわライター」ことラリー遠田さんについてこうおっしゃっていました。
こいつの評論は最悪。わかったような顔してるだけ。RT @owawriter 芸人にとって「ツイッターでシゴトをする」とは「好きな色は何ですか?」的などうでもいい質問に丁寧に答えたりすることではない。ひとつでも多くのイタいことを書いて、このツイッター界にさざ波を立てることだ。
— 水道橋博士 (@s_hakase) December 9, 2012
「さざ波」以上になると悪いので書いておきます。芸人が「イタいこと書く」というジョークです。本意でも無いです。そんなことは芸人だろうが一般人だろうが「簡単に」出来るので「自分だけが芸人についてもツイッターもわかっている」…という目線の論評がナンセンスだとお伝えしたいだけです。
— 水道橋博士 (@s_hakase) December 9, 2012
例えば「たけしは毒気がなくなった」なんて茶の間でつぶやくのは自由です。しかし、それを武士の気概で生きている本人の前で言えば、確実にその人が唾を吐きかけられ斬られます。諫言は本人と信頼関係があるか斬り返せる人でないと言ってもナンセンスだと思います。
— 水道橋博士 (@s_hakase) December 9, 2012
一般的にエンターテインメントというものに対して批判や礼賛、評価というのはつきもの。そして、それはその個人の自由ですし、それが損なわれるようではエンターテインメントといえないと思います。
でも今回の場合、「それを生業としていない人が知ったかぶりでものを言った」ということに問題があるのではないでしょうか。
もちろん、相当にお詳しい方だと思うんです。
それに、すごく尊敬すべき点もたくさんあります。『コメ旬』というメディアを作り出したこともすごい。企画もファンの心に響くものが多い。数々のお笑い評論家と称する人たちと圧倒的に違うところだと思います。
ただ、芸人さんからしたら「お前誰だよ」と言いたくなることがしばしばあるのではないでしょうか。
たとえすごく詳しくても、畑違いの人に「この仕事の世界ってこうですよね」と決め付けられたらイラつくのも無理はありません。「誰だよお前」って。
そして、それは私も同じライターとして、いちばん気を付けている点です。
たとえば取材でいくら入念に下調べをおこなっても、相手のことは100%わかるわけではない。いやむしろ、わからないところの部分の方が多いはず。だから話を聞いていくなかで記事の元々の企画骨子から大きく逸れたり、根底から覆ることすらありうる。だからこそ、「私は一応ここまで調べたのですが、これで正しいのでしょうか」といった、謙虚なスタイルが必要なはずです。
いくらネタを見て、取材記事や番組を見て、インタビューをしても、その人にならない限り、その人の気持ちはわからない。
その配慮に欠けた発言だったんじゃないでしょうか。
だからこそ、水道橋博士さんは「本人と信頼関係があるか斬り返せる人でないと言ってもナンセンスだ」とおっしゃっているのでは。
「これはおもしろかった!」とか「あれはイマイチだった」という議論・評論はこれからもなされるべきとは思うんです。だってそういった話、最高に楽しいじゃないですか。酒でも飲みながら「オギプルギスの夜は最高に笑ったよな〜」とか「いや、おれは◯◯が〜」とかって話すの、いちばんいい酒の肴ですよ。
「全部まとめてエンターテインメント」だと思うんです。
(そういう意味も込めたブログタイトルなんです……)
でも、当事者じゃない人間があたかも当事者のように話す、ということはあってはならないはずです。あくまで視聴者は視聴者。ライターも一緒。ライターだって、いち視聴者です。
そこの垣根は越えないように、これからもエンタメをああでもないこうでもないと楽しみたいです。